2021年11月27日20時43分

ゼロゼロ融資の実態

 政府は、新型コロナウイルスの流行で売り上げが減った企業に実質無利子・無担保で融資する、いわゆる「ゼロゼロ融資」の仕組みを作り、中小・零細事業者向けコロナ対策の目玉として対応してきた。感染拡大が始まった当初は、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫など政府系金融機関が融資を行い、2020年5月からは民間金融機関も融資できるようになった(民間金融機関の受け付けは21年3月末に終了)。
この政策支援の効果で、企業倒産は歴史的な低水準に封じ込められている。2021年度上半期(4~9月)の全国企業倒産は、前年同期比で23.8%の2,937件(前年同期比)となり、年度上半期としては過去50年間で初めて2,000件台の低水準にとどまった。その後も倒産件数は低水準に抑えられており、帝国データバンクは、2021年11月26日16時現在、新型コロナウイルス関連の倒産件数は全国に2,427件確認されていると発表した。
 しかし、この政策はコロナで苦しむ企業のすべての問題を解決したわけではない。これは「融資」であるため、借りたお金は返済する必要がある。この制度では、返済には最長5年間の据え置き期間が設けられているが、全ての案件のうち約半数が、1年後に返済を開始する条件になっているようだ。これは、融資を受けた事業者が、コロナ問題が長期化するとは想定しなかったことによる。
 緊急事態宣言や時短要請が徐々に解除されてきたものの、飲食や旅行などの業界では、まだまだ以前の客足が戻らない状態だ。新たな変異株の発表も、大きなマイナス要因として働くことが容易に予想される。経営者にとって、これからが正念場となることは間違いない。


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